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8回目 |
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安心して育つための環境要素 〜子育て支援のための両親調査 VOL.3 |
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かわいい孫娘へ
今、韓国の一番南にある釜山(プサン)港近くの都市である馬山(マサン)という所にいます。韓国の児童福祉を見学するのが目的で訪れましたが、ここ韓国でぐらんまが感激したことが2つあります。
一つめは、「家族」という意識がとても大切にされていて、児童養護の施設でも、性虐待を受けた思春期から青年期の女性たちが暮らす施設でも、「お母さん」の役割をする女性が7〜10人ほどの子どもたちと一緒に暮らしていることでした。案内をしてくださったソーシャルワーカーの方は、「韓国は、アメリカや日本のように職員さんたちが交代制で子どもの世話をする体制はなく、まだ遅れています」とおっしゃいました。ですが、子どもたちが「この人と居ると安全で、自分は理解してもらえる」という根本的な愛着の関係に入れて大人を信用することができる、本当の意味での子どもを中心とした養護で、私たちはこの原点にもどらねばならないと思いました。
もう一つ感激したのは花と手芸や絵に囲まれた環境でした。施設の前には、スイレンの咲く小さな池があり、子どもたちの絵や先生たちが作ったぬいぐるみなどがお部屋ごとに飾ってあって、心のゆとりを感じさせました。あなたのママも手芸がお得意で、あなたにいろいろなものを作ってくれていましたね。子育てで毎日が忙しくても、美しいものでお部屋を飾る余裕を持っていてくださいね。
両親調査 第三項目 これまでの親業は?
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さて、第6回目の「ぐらんまだより」からお話している両親調査の第三項目は、赤ちゃんの親が、親として児童相談所とかかわりがあったかという質問です。離婚・再婚が当たり前のようなアメリカでは、お母さんにとって初めての赤ちゃんでも、再婚した夫にとってはそうでなく、もしかしたら以前子どもを叩いて児童相談所に通報されたことがあったかもしれません。赤ちゃんにとっては安全上の危険要素になるので、両親は養育支援家庭訪問を受ける権利があります。
「え?権利?」とびっくりするでしょうが、このような訪問支援は国や地域の行政のサービスで無料です。そして強制ではなく赤ちゃんの両親が喜んで受けられるように、アメリカでは「権利」という言葉を使っているのです。
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両親調査 第四項目 生活上の問題をスムーズに解決できるか
次の項目は、両親の問題解決能力と、両親の子育てをサポートする人の存在です。ここではまず両親の学歴を聞きます。アメリカでは高校までが義務教育なので、もし高卒でないとよい仕事に就けないし、日頃の生活上の問題解決に支障が出てくると考えられるからです。
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また、今の日本に多いでしょうが、夫が仕事からの帰りが遅く、親戚や友達が近くにいなくて朝から晩まで一人で赤ちゃんと家にいるとなると、お母さんは窒息しそうになりますね。何か相談したい時も困ります。このような母親の「孤立」は、お母さんにとっても、赤ちゃんにとっても危険要素になります。この項目は「もし緊急の場合、あなたが頼めばすぐに来てくれる人が一人でもいますか?」というように質問され、「ええ、同じように子育てしている友達が近くにいるので」とか「母や義母に電話をかけて、すぐ相談します」という答えなら「保護要素」ですが、「越してきたばかりで、誰も近くにいません」ならすぐにその地域の子育てサークルなどを紹介します。
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「孤立」していなくても、このようなサークルに関わって楽しくリラックスして時を過ごすのはとても良いことですね。でもサークルなどに参加する時に大切なのは、自分の子どもの成長をほかの子どもと比べないことです。「あら、あの子はもう"はいはい(這い這い)"しているのにうちの子は!」などとカッカときては駄目ですよ。赤ちゃんは一人ひとり違います。7か月ごろからはいはいする子もいれば、一歳のお誕生近くになって、やっとはいはいを始める子もいますから。
お母さん方が赤ちゃんと一緒に集まると、赤ちゃんは互いに刺激されるようです。これは良いことで、サークルから帰って2〜3日したら、急にはいはいや伝い歩きを始めたなんてこともありますよ。
明日は慶尚南道(キョムサンナムドといい道は日本の県にあたります)の母子のシェルターを見学します。「ぐらんまだより」はそこからです。
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